『競技ダンス』とは?
パーティーで楽しく踊ることを目的とする「社交ダンス」と異なり、「競技ダンス」は1つのフロアで同時に複数の選手が踊り、審査員が採点をつけ勝敗を決めます。
ダンス演技における技術や芸術要素を競うもので、競技会にて競われます。
競技で用いられるダンス種目、音楽、服装は社交ダンスとして踊られる物と共通する部分が多々有りますが、競技会に向けてステップを決め、日々ハードな練習を行う点は社交ダンスとは異なります。全力で5分も踊ると倒れるくらい疲れます。
国内では、映画Shall we ダンス?やウリナリ芸能人社交ダンス部の活動のTV放映などを通じて幅広く認知されるようになりました。オリンピック競技としての採用も目指していて、IOC後援のワールドゲームズでは第5回大会のワールドゲームズ1997から正式競技となっています。
アジア競技大会でも2010年から正式競技に。障害者のために車椅子ダンスや視覚障害者のためのブラインドダンスの競技会も開催されています。スポーツ性が要求されるため、ダンススポーツ(英: dance sport、英: dancesport)とも呼ばれています。
学生競技ダンス連盟(学連)について
競技会を現役学生の自主運営によって開催している団体が、学生競技ダンス連盟(通称、学連と呼ばれる)です。
学連の競技会に出場するためには、学連に加盟している競技ダンス部の部員となり、学連に学生選手として登録をする必要があります。
大学から競技ダンスを始める部員が多くスタートラインが同じということがあり、他のスポーツよりも『学生日本一』を目指せることや、男女カップルで息を合わせて一人ではできない身体表現を追求する楽しさ、部員全員で大学名を背負って切磋琢磨する点など、学生たちが4年間をこの競技ダンスを通じて人間形成していくための様々な要素があることも魅力です。
競技種目について
学生競技ダンスでは男女が組んで踊る『スタンダード(モダン)』、男女が離れて踊る『ラテン』の2つ専攻があり、それぞれ4種目のダンスがあります。
各大学で男女カップルの相手を決め、専攻、出場種目を決定し、競技会にのぞみます。
大学名を背負いながらも各カップルごとに競い合うため、同じ大学であってもライバル関係にもなります。また、複数カップルがラインを構成しながら踊り、大学ごとに競い合う『フォーメーション種目』という種目などもあります。
スタンダード(モダン)種目
スタンダートは、男女が両腕を組む『ホールド』が特徴的な踊りで、見ている人に優雅な印象を与えます。
スタンダードのステップはすべてかかとから踏み出すので、つま先から踏み出すことが多いラテンとは対照的です。男性は燕尾服、女性は腕にドレープのついたロングドレスを着用します。
- ワルツ
- タンゴ
- スローフォックストロット
- クィックステップ
ラテン種目
ラテンは、『ラテンアメリカン』を略したダンス種目の総称です。ラテンアメリカンという名前の通り、ブラジルやキューバといったラテンアメリカの国々から生まれたダンス種目で構成されています。
ラテンダンスのリズムはスピーディな特徴があり、男女が手をつなぐだけ、もしくは独立して踊ることが多いダンスです。男性はラテンシャツ、女性は脚を大きく露出したドレスを着用します。
- チャチャチャ
- ルンバ
- サンバ
- パソドブレ
感動必至の全日本戦
学連主催の競技会には、年に2回日本中の大学がエントリーをする『全日本戦』がおこなわれます。
夏におこなわれる『全日本学生選抜競技ダンス選手権大会(通称・夏全)』と、冬におこなわれる『全日本学生競技ダンス選手権大会(通称・冬全)』です。
夏全はスタンダード・ラテンそれぞれの4種目総合戦、冬全は単科種目戦でおこなわれます。
夏は、スタンダード・ラテンそれぞれの総合日本一を決める大会となり、真の日本一を決める大会と言えるでしょう。また、冬全は、各種目ごとに日本一を狙える大会であり、さらに4年生が学生最後の大会となるため、学生一人一人の様々な感情がフロアーで爆発するほどの盛り上がりを見せます。
卒業後にプロになる学生も
4年間の学生生活が終わると、学生はアマチュアでダンスを続ける人だけでなく、一般企業には就職せずプロの競技ダンサーになる学生もいます。全国の社交ダンス教室には学連出身の先生たちも数多く所属しています。
YouTubeで応援していた学生が、将来日本を代表するプロダンサーとなっているかもしれません。